弘前大学の文京キャンパスのうち理工学部と農学生命科学部のあるところは、旧陸軍の第八師団司令部があった場所です。教育学部のあるところは旧制弘前高等学校の敷地でした。
師団司令部時代の遺構はほとんど残っていませんが、農学生命科学部の敷地に大本営跡の碑が残っています。
農学生命科学部の門から入れば、円形の植え込みと、植え込みを回り込んで奥に向かう道路があります。ここが旧司令部前のロータリーで、この奥に司令部の中心庁舎がありました。
植え込みのなかに石碑が見えます。
石碑には大本営跡と刻まれています。大正 4 年(1915)に大正天皇をお迎えして、弘前を中心に特別陸軍大演習が行われました。その演習期間中に第八師団司令部に大本営がおかれたことを記念して、昭和 15 年(1940)にこの碑が建立されました。
特別大演習は年に一度、それぞれ複数の師団によって編成された数万人規模の2つの軍団が、演習計画に基づいて模擬戦闘をおこなう極めて大規模なものでした。
この年の特別大演習は、陸奥湾沿岸に上陸した侵入軍(第一師団、第七師団)を第八師団が浪岡周辺で迎い撃つ想定で行われ、第一次世界大戦の経験を生かして飛行機や飛行船、無線機などを活用した近代戦を意識したものでした。
特別大演習にあたっては、天皇陛下とお付きの高官、数万人の兵士、数千の軍馬が滞在するため、食料の供給、来賓や将校の宿泊手配をはじめ膨大な準備が必要で、第八師団司令部のみならず青森県の総力を上げての大行事でした。
特別大演習は、10月20日から24日まで行われ、終了後に弘前城四の丸に設営された会場で大規模な賜宴が行われました。
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