乳井神社は弘前市乳井に鎮座しています。東北自動車道大鰐弘前インターの近くです。
乳井神社は元は毘沙門堂で、福王寺という神仏習合の寺社でした。毘沙門天は多聞天とも呼ばれます。
鎌倉時代に福王寺の別当だった乳井氏が、僧侶ではありましたが他の豪族に匹敵する勢力を持っていたそうです。近くには、茶臼館と古館という城跡があります。
その後、近隣の豪族や南部氏との抗争に敗れて一時衰退しましたが、江戸時代に入り弘前藩主の祈願所として再建されました。
明治の神仏分離に際して乳井神社になりました。
境内です。
社殿です。
乳井からの岩木山です。
江戸時代の紀行家菅江真澄がこの地を訪れて、乳井村からの岩木山の眺望を絶賛しています。
菅江真澄 すみかの山より
「田面の道をつたって乳井村につく。岩木山を木々の間に眺めたが、わきでた雲のたたずまいは、何ともいえない景色である。たとえていえば、駿河の国吉原などの宿駅のあたりから富士山を眺望するのとまったく同じである。このごろ植えこんだばかりの広い田の苗が、青々と見た目も涼しい。小高いところにのぼり、この景色をひとめに見わたした。」
東洋文庫版 菅江真澄遊覧記3 寛政8年(一七九六年)五月二十日の日記より引用