温湯(ぬるゆ)温泉は、青森県黒石市にある黒石温泉郷の一つです。
国道102号線を十和田方面に走り、標識に沿って左折、すぐです。
共同浴場「鶴の湯」です。
「鶴の湯」の周囲に「温泉客舎」が並んでいます。
明治後期から大正にかけての木造建築が並ぶ、すごく雰囲気の良い温泉地です。各客舎の内部は、雰囲気を残しつつ快適に改装されています。
なお、「ぬるゆ」というのは「ぬるい」という意味ではなく、よく温まるので「温」、読み方が「ぬる」なのです。
菅江真澄も訪れています。
菅江真澄 津軽の奥より
「家は三十軒ばかり、川岸にたちならび、湯ぶねの底には石をびっしり敷きならべ、湯小屋が軒をつらねて冬ごもりしている。遠いむかしのこと、脚を矢で傷つけられた鶴が沢水のところを動かずに日を過ごし、やがて癒えたのであろう、羽ばたいて空高く飛びさっていった。人々はこれを見たり聞いたりして、ここに温泉のあることを知り、はじめは山働きの木こりたちばかりが入浴していたが、病に効きめがはやいと知れわたって、やがて、鶴はだちの湯とよばれ、またの名を鶴の湯ともいうようになった。羽立(はだち)とは、もののはじめをいうのである。また二百年ほどのむかしであろう、花山院忠長卿が浴されたころ、世間の人はすべて、ぬる湯といっていた。湯のなかばは冷え、なかばはあたたかいので、いわゆる半冷半温というところであろう。」
東洋文庫版 菅江真澄遊覧記3 寛政七年(一七九五年)十一月八日の日記より引用