雪のもろ滝について
江戸時代の紀行家菅江真澄の「雪のもろ滝」に出てくる通過地や滞在地をだどります。寛政8年(1796)の旅です。
深浦から岩木山の山麓をまわり、暗門の滝に向かいます。再び深浦に戻って滞在します。
文中の日付は旧暦です。なお、日記が始まる寛政8年10月23日は新暦では11月22日にあたります。日記が終わる11月10日は12月8日にあたります。
以下、東洋文庫版菅江真澄遊覧記3「雪のもろ滝」からの引用です。
寛政8年10月23日
深浦に滞在しています。
目屋のあんもん(暗門)の滝を見に行こうと出立します。
鳥居が崎、荒崎を経て赤石村に入ります。寺沢という家に泊まります。
10月26日
砂森の一本木、日照田村、観世音の堂、館前村、川崎村、目内(めない)崎村を経て種里村に入り、臥竜軒という寺に紹介状を持って訪ねます。
10月27日
八幡の神社、深谷村、細が平村、稲荷の祠、松代(まつだい)、なべこわし石、杉が平、枯木平を経て、湯段の温泉の長、長兵衛の家に宿泊します。
10月28日
白沢(西目屋村)、太秋(たやけ・大秋)、村市村を過ぎてつづら折りの道をくだり、大路に出て宿をもとめます。
10月29日
畳平村、守沢、多門天の堂、さらに進みますが川水が深くて渡れないので村市に戻り、小舟に乗ります。川辺村、宮守平、砂子瀬村を経て、川原平村に着き、米沢長兵衛の家に宿を借ります。
11月1日
朝早く出立します。大沢、焼山、小原沢、大原沢、岡市・瀧の沢におりて、あんもんの滝に着きます。木こりたちはもろ滝と呼んでいるところです。
木こりの小屋に泊めてもらいます。
11月2日
雪が降るなかを戻ります、川原平、砂子瀬村、藤川村、畳平村を経て村市に着きます。行くとき宿泊していた家でいま戻ってきたことを告げると、主人は「このような冬空に雪をふんで、たいそうおそろしい山のおくの、暗門のもろ滝を見てきた人に会うのはいまがはじめてです」「しようと思ってすれば、鉈で舟をつくることができると、私の親がみ(親たち)がつねに言っておりましたが、今こそ思いあたりました」と驚きます。
村市に泊まります。
11月3日
村市に滞在しています。雪がさかんに降っています。風呂をわかしてくれます。家にいる人は男も女も背中にあおの皮という「かもしか」の毛皮を着ています。
11月4日
出立します。長面村、いわやの観音、世中滝、田代、番館、中畑、米が袋、桜庭、清水の観世音、黒土村を経て国吉に入り、竹のうちという酒屋に泊まります。現在の丸竹酒造と思われます。
11月5日
大雪が降り続いていますが出立します。「雪をふませて行けと、下男を道案内にたててくれた(酒屋の)主人の情は、きょうの雪よりなお深かった」と感謝しています。三本柳、中野を経て百沢村に着きます。この秋から百沢に来ている斎藤規房の家を訪ねます。
11月6日
斎藤の家を出立します。新法師村、宮地村、五代村、賀田、高屋、蒔苗、独孤を経て、高杉で宿をとります。
11月7日
高杉を出立します。鬼沢、藤井、貝沢、大森、十面沢(とつらざわ)、十腰内(とこしない)、浮田、上野、坂本、前戸を経て鰺ヶ沢に入ります。日が暮れていますが赤石に入り、前に泊まったことがある寺沢の家に泊まります。
11月10日
悪天候で三日とどまった赤石を出立し深浦に着きます。
外浜奇勝(一)(二)ー雪のもろ滝ー津軽のをち
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